大名屋敷　大名庭園１

池は落英池といったそうです。


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大名屋敷、庭園

参勤交代が制度化されてから、大名は江戸屋敷を持つことが義務づけられました。江戸には1000を越える大名屋敷があったと言われています。大名屋敷には上屋敷、中屋敷、下屋敷がありあｍした。上屋敷は藩主が江戸に居る際に過ごす場所で、政務や外交のための屋敷でした。中屋敷は隠居した藩主や世継ぎが住む屋敷で、上屋敷よりは江戸城から離れた場所にありました。下屋敷は別荘のような位置づけで、江戸の郊外にありました。これらの屋敷の土地は幕府から貸し与えられているもので、配置も幕府が決めていました。江戸防衛の要所には御三家や譜代の有力大名が配されてていました。また、これらの有力大名の屋敷は防火の意味もあり、広大なものでした。この大名屋敷が建ち並ぶ江戸の景観は独特で、とても美しかったということです。この他に、大名が地権者から土地を買い取って建てた抱え屋敷というものもありました。大名屋敷には必ず庭園があり、他の大名などをもてなしたり、社交の場として重要であったようです。また、立派な庭で有名になることはその大名のステータスを上げることにもつながったと考えられます。庭園の形式は池泉回遊式庭園という、歩いて巡る形がほとんどで、これも社交の場として適したスタイルだと思われます。

江戸の大名屋敷の建物は明治に入ってからの破壊、関東大震災、空襲などによりほとんど失われてしまいましたが、庭園は復元されて公園として公開されているところがたくさんあります。

御三家

水戸藩徳川家

上屋敷（小石川御門外上屋敷）：小石川後楽園、東京ドームなど

中屋敷（駒込中屋敷）：東京大学農学部、工学部

下屋敷（本所小梅村下屋敷）：墨田公園など

水戸藩の初代藩主は家康の11男の徳川頼房でした。頼房は家光の叔父ですが、1歳しか年齢が違わなかったために、最も頼りにされたといわれています。頼房には早くに長男の頼重が生まれましたが、紀伊家、尾張家に男子がなかったために出生は秘密にされ、京都の滋野井家で養育され、11歳で水戸に戻されましたが、この時には弟の光圀が家督を継ぐことが決まっていました。このため、頼重は分家とされ高松藩の藩主とされました。光圀は兄を差し置いて藩主と成ったことを遺憾とし、本家の家督は兄の子に譲り、光圀の長男の賴常が高松藩の家督を継ぎました。

このような経緯から高松藩は水戸藩とともに幕府において高い地位にありました。高松藩の屋敷は水戸藩の屋敷に隣接した飯田橋に与えられ、ともに小石川御門方面の防衛を担ったようです。

光圀の弟の頼元の子頼貞は、水戸藩の支藩の守山藩（福島県郡山）松平家の初代当主となりました、その上屋敷には占春園という名園があり、当時の江戸3名園に上げられたこともあるそうです。

後楽園 (水戸徳川家上屋敷庭園)

初代藩主の徳川頼房が築き、息子の光圀が改修したといわれています。命名は明から来た朱舜水という儒学者によるとされています。

	後楽園の築地塀の一部に、江戸城外堀跡を発掘した時に出土した外堀石垣の石が使われています。中に工事に携わった備中成羽藩主山崎家の”山”という字が刻まれている石があります。

飯田町遺跡　(讃岐高松藩松平家上、中屋敷跡)

飯田橋のJR貨物ターミナル跡地の再開発に伴い、讃岐高松松平藩上、中屋敷跡が発掘調査されました、発掘された石の一部が跡地にできたアイガーデンエアの中庭に展示され、また日本橋川沿いの遊歩道の椅子に使われています。

兄を差し置いて藩主となった水戸光圀は兄の子供に家督を譲り、自分の子供は高松藩主としました。屋敷は小石川門のすぐ内側で水戸徳川家屋敷（後楽園）からとても近いところにあります。

	現在の日本橋川と平行するあたりに江戸初期には平川という川が流れ、その下流の江戸城正面あたりは水害に悩まされていました。そのために、平川は埋め立てられて神田川へ流されるように流路変更されたそうです。現在神田川は小石川橋のところで日本橋川へつながっていますが、これは明治になって再び掘られたものです。アイガーデンエアに平川の流れを再現した小道が作られていました。

自然教育園　高松藩松平家下屋敷　

水戸光圀の息子が藩祖の高松藩松平家の下屋敷跡は明治維新後は軍の弾薬庫となり、その後白金御料地となり皇室の所有でしたが、戦後は国有地となり、現在は国立科学博物館付属の自然教育園となっています。長年人手が加わっておらず、現在では国立博科学物館により自然が保護されていますので、公園内は原生林のようです。奥の水生植物園の周辺に松の古木などがあり、これらは高松藩下屋敷の名残と言われているようです。

大隈庭園　(彦根藩井伊家、高松藩松平家)

大隈重信が旧来からあった庭を改造して造ったとされているそうです。天保年間に高松藩松平家下屋敷の造られた近江八景を模した庭が起源と成なっている庭のようです。広い芝生があり、脇に池や流れが作られています。屋敷があった部分はどこなのでしょうか。

占春園　(陸奥守山藩松平家　上、中屋敷庭園)

後楽園を作った徳川光圀の弟の松平頼元がここに屋敷を構え、その子の頼貞は陸奥国守山藩主となり、ここは守山藩松平家の屋敷庭園跡です。江戸の三名園の一つと数えられていたこともあるようです。筑波大学附属小学校の敷地に隣接し、教育の森公園の一部となっています。現状は庭園はあまり手を加えられておらず、ワイルドな状態です。

御三家

紀伊藩徳川家

上屋敷（麹町上屋敷）：グランドプリンスホテル赤坂、清水谷公園など

中屋敷（赤坂中屋敷）：赤坂迎賓館、東宮御所、赤坂御用地など

下屋敷（芝海手下屋敷）：芝離宮恩賜庭園

	紀伊藩徳川家上屋敷は赤坂御門のすぐ外にありました。現在は閉鎖されたグランドプリンス赤坂のあたりから清水谷公園にかけてです。弁慶橋のたもとに碑が建っています。清水谷公園のあたりで井伊家の屋敷と接していました。

	中屋敷は現在の迎賓館、東宮御所のあたりです。食違見附を出て外濠を渡ったところに門があります。これは紀伊家時代のものでしょうか。

芝離宮恩賜公園　

芝離宮は老中大久保忠朝の上屋敷庭園である楽寿園の跡です。忠朝が家綱から拝領した庭園が原型となっているそうです。かつては池は海とつながる潮入の池でした。忠朝は肥前唐津藩を相続してから下総佐倉藩主となり、やがて祖父の領地であった相模小田原藩主となりました。その後、堀田家、清水家とわたり、紀伊藩の下屋敷となりました。

御三家

尾張藩徳川家

上屋敷（市谷上屋敷）：防衛省、市ヶ谷駐屯地

中屋敷（麹町中屋敷）：上智大学

下屋敷（和田戸山下屋敷）：戸山公園、国立国際医療センター、学習院女子大学

尾張藩には甲州道から続く四谷御門の近くに広大な屋敷が割り当てられ、この方面の守りを担っていました。

上智大学　(尾張徳川家中屋敷跡)

尾張藩下屋敷の石垣の石が上智大学東門付近に残っています。

戸山公園　箱根山　尾張藩徳川家下屋敷

戸山公園だけではなく、国立国際医療センター、戸山ハイツ、学習院女子大学、都立戸山高校などを含む広大な土地が尾張藩下屋敷でした。ここは、当時の巨大テーマパークのようなものが作られていました。広大な池があり、宿場町に見立てた建物が作られ、そこには町人や農民に扮した家来が待ち受けていました。さらに、流れを飛び石づたいに渡ったすぐ後に川が増水して渡ってきた飛び石が水没するというようなアトラクションも用意されていました。将軍も、鷹狩りの帰りに迷い込んだという設定でこのテーマ-パークで遊んだようです。今は戸山公園の中の箱根山が当時の庭の玉円峰という山の跡として残っているのみです。箱根山は桜の名所となっています。